南アフリカの荒野に大蛇を追う-1-

2018年末からの年越し遠征は南アフリカでどうかという誘いを受けた。これまで私が踏んだアフリカ大陸はモロッコのみ。サハラ以北アフリカのみでアフリカを語るなど言語道断。この時点で南アフリカ渡航に躊躇はなかった。

目指すはケープタウン、遥か13000km彼方の目的地へはドバイ経由で24時間の長い道のり。

ケープタウンは欧州人にとってのバカンス地のようで、ドバイからの機内は妙に浮ついた気配が漂う。南アフリカというと治安の悪さばかりがピックアップされるが、こういった側面も実際には存在する。喜望峰などは最たる例で、ケープ半島の町サイモンズタウンなどでは夜遅くまで賑やかに白人たちが夜遊びを楽しんでいた。

到着翌朝はそのケープ半島の海岸を舐めるように走る鉄道路線"Metro rail - Simonstown Line"でイギリス生まれの通勤型車両5M2型を狙った。

正確にはイギリス生まれなのは1960年製造までの初期ロットのみで残りは南アフリカ自国製造なのだが…それはそれ。旧宗主国との繋がりを垣間見る車齢60に迫る老朽車両は今時の車両にはない無骨さを放つ。車両内の治安は極悪とも聞くが、果たして。

折角アフリカ大陸の果てまで来たのだから観光もしておく。ケープペンギンの繁殖地もきっちりとカバー。やけにイチャイチャしているのが人間臭い。

続いて向かったのはケープタウン西側、ケープタウンから峠を上り切った先にある台地状の高原地帯。低木の茂る独特な景観の中を観光蒸汽列車の復路を撮影した。

本来なら蒸汽が先頭に出る往路を撮るべきではあるのだが…そこは肯定の都合上、ご愛敬。今回は挨拶程度に留めておいた。

ケープタウン近郊での撮影はここまで。明日以降の本命に向けて西海岸を北上した。

南アフリカの田舎の宿。果たしてどんな荒廃した場所なのか…と思いきやところがどっこい。今宵の宿泊地Elands bayは世界的にもサーフィンスポットであるらしく。小綺麗な別荘地となっていた。南アフリカの荒廃したイメージが次々に崩れ去っていく。

翌朝、町外れの丘によじ登り今回の本命である南アフリカ共和国名物TRANSNET Freight railの超長大貨物列車を狙う。先ほど、このElands bayという町の浜が世界的なサーフィンスポットと説明したがその言葉通りに白砂青松の景観が広がる。雄大過ぎる景色の中を走る終わりの見えない貨車の列。こうなると貨物列車の長さは如何に長かろうとももはや写真では測りきれない。

300両を優に超える編成の中に中間補機が2,3両挿入される点もこの貨物列車の特徴。アメリカの貨物列車でも中間補機や後部補機は存在するものの、この南アフリカ長大貨物では複数の補機が入るという点が大きな違いになる。

この日の撮影はこの辺りにして内陸へ突き進む。そして景色は次第に未舗装路の延々と続く如何にもアフリカンな景観へと移り変わっていく。冒険心の駆り立てられる刺激的な道程が続く。


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