欧州遠征2015夏-12-

シャウエンと並ぶ、いやそれ以上のモロッコ本命、サハラ砂漠。パリダカ華やかりし頃、かのラリーが政治不安から南米その舞台を移す前、彼らが目指した場所。 この日はついにそこへ向かう日。マラケシュに着いてすぐに予約したツアー会社はメディナの中にある宿まで迎えにくれると言っていたけれどメディナはその住所も住所と言っていいのかどうかわからない、それこそ京都市内でいう「丸太町御池上ル」みたいなざっくりしたものであの迷宮区の中の宿に果たして本当に来るのか不安だったけど流石に杞憂だった。自分をピックアップした後も同日発の旅行者を拾うべくメディナの中を早朝に迷いもなく駆け回る。そしてそれについていかされる。楽しいからいいけど。 

最終的に何台かのバスにメンバーが振り分けられて乗り込む。その内訳、カサブランカのお嬢様×2、アメリカ人のオタク、イギリスの意識高い奴、スイスのラブラブカップル、イタリアのウェイ、ワルザザードから乗り込んで来たアトラス山脈を歩いて越えたという体育会系。最高に濃い。濃過ぎる。そして他のバスを見ても日本人はいない。シルバーウィークを越えてから日本人を見ない。金持ちそうな中国人はランクルをチャーターして先を急ぐ。

そんな状況の中調子の良いニコラスケイジ似のイケメンドライバーはカサブランカのお嬢様を口説きながらオートアトラスの山道を爆走。非常にアツい走りでアイドヘンバッドゥ、ワルザザード等々観光しながらこの夜はトドラ渓谷の宿に宿泊。ここまでの行程、折角だから見ておいて良かったなと思ったその程度。ベンツのデカいハイエースみたいなものだけどそれでも座席は狭い。前方座席に行きたくてもそこはカサブランカのお嬢様の指定席。チクショウメ

晩飯はオリーブオイル鍋…じゃなかったタジン鍋。というか昼もタジン。ずっとタジン漬。美味しいのは美味しいけどこれが後に悲劇を招く。

砂漠ツアー二日目。いよいよ砂漠に向かう…のだけどこの日もとりあえず観光。早く砂漠に行きたいけど連れ回される。まあモロッコは初見だし、見ておいて損はないのだけど気持ちは逸る。昼飯やトイレの休憩ストップですら一々長く感じる。逃げ場などない英語漬、車内に流れるアラビア音楽、車窓に流れる北アフリカの景色。どれもが素晴らしい。これでこそ海外旅行だ。が、はやく砂漠に行きたい。そんな中の怖い知らせ。砂漠に向かう道が数日前の自分が回避したはずの雨で冠水していて行けるかどうかわからんのだという。その解決策を探す間、昼飯を食いながら待ちぼうけ。 ちなみにこれもタジン。オリーブオイルが消化器に染みる。そうこうしてる内に代替ルートが決定…ではなく強行突破が決定。氾濫、といっても浅いけどデカい車なら突破出来るとして突っ込んだ。小さな町のATMで金をおろしたり、買い物したり。大型バスに乗せられてガイドに連れられて観光してるよりよっぽど楽しい。


そしていよいよ、見飽きたブラックデザートの先に大砂丘が見えてくる。夢にまでみた本物の砂漠である。鳥取砂丘などという半端モノとはわけが違う。夕日に照らされなくとも砂が赤い。

ラクダに乗り換え、ついに。

ついに来た。来てしまったぞ。サハラ砂漠に。

言葉も出ない。

ちなみにラクダの乗り心地。控えめに言っても悪い。ラクダの歩き方が独特な事もあって前後に振られまくる。そしてここのラクダはヒトコブ。つまりコブの上に乗る。それがまた乗り心地悪い。次第に慣れたお調子者はラクダの上で寝転がったりアホな真似をする。普通に座ったままだとケツの肉がモゲそうになるんだから仕方ない。

太陽も落ち、夜になろうかという頃ようやくキャンプ地に到着。飯が出来るまで、皆思い思いに時を過ごす。夜空には満天の星空。流れる流れ星。流星群でも無いのにめっちゃ飛んで行く。普段からこんなに飛んでいるとは、いつも暮らしている世界では想像もつかない。日本とはそんなに余程明るいのか。もはや飽きすら感じるがタジンを食べ、キャンプファイヤーが始まる。アメリカ人オタクと本家本元日本のオタクは仲良く外れたところで砂丘に寝転がり夜空を眺める。折しも満月が上がってきて真っ暗だったはずの砂漠が明るく照らされる。

なんと綺麗な世界だ。なんと楽しい旅だ。

夢にまでみた砂漠の砂の上で、極上の夜が過ぎていく。 

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