北中米卒業旅行-4-

アメリカ東海岸,キューバ,メキシコと本来であれば複数回に分けられる行程を一つにおまとめする欲張り行程は最後の締め括りに向けてアクセルを踏み込んでいく。

舞台はアメリカ西海岸。そのアメリカ入国に際しては旅費節減と物見遊山を兼ねてアメリカ・サンディアゴに国境を接するメキシコ・ティファナ空港へ降り立ち、空港内に整備された入管を通って徒歩でアメリカへ入国する。(CBX:Cross Border Express参照)国境を越える橋から眺めるメキシコ側の雑多とした景色と国境の壁を挟んだ広々とした土地利用が特徴的なアメリカの景色の対照が今も脳裏に強く残っている。なんで写真に残してないのかは後悔の残るところ。

アメリカへ入国してしまえばもうそこはグーグルの支配するハイテク世界。情報を集めるにも英語すら怪しいキューバなどを歩いてきた身としてはサンティアゴ郊外の国境からサンティアゴまでの移動が携帯アプリ一つでバスの時刻に至るまでの情報を事細かに手に入れられるのは何とも味気ないような気もするが、この予定調和のドキドキ感のない…もとい安心感のある旅ができるのが今のアメリカである。

ナビに案内されるがままいつしか私は海に出る。目の前には原子力空母が2隻もいる圧巻の光景。

当然、行くよね。そうここは言わずと知れた映画トップガンのロケ地そのもの。置かれたピアノは劇中でアンソニーエドワーズが弾いていたものそれそのもの。その鍵盤キーはもうあまりにも押され過ぎてそこだけ凹んでる。

翌日は乗り鉄ついでにPacific Surflinerに乗ってロサンゼルスへ移動しLAXへ降りる飛行機をヘリ空撮…が痛恨の曇天。とはいえロサンゼルスの空を自由に飛び回り開け放たれたドアからハーネスを信じて下界にカメラを向けるひと時は最高の体験。

クソデカい道路。クソデカい車。LAというこの大都市にあって贅沢としか言いようのない余裕たっぷりの土地利用。空から見るとアメリカという国だからこその数の暴力・力の暴力・規模の暴力による圧倒的POWERで押し寄せてくる迫力がよく実感できる。

アメリカ西海岸ツアーはまだまだここからが本番。車を借り出し、向かうは荒野ド真ん中。無限に続く直線道路を爆走しアメリカの長大貨物列車を追い、内陸奥地にある観光地を巡り、何なら大地に刻まれた谷間をすり抜ける戦闘機を狙う。骨の髄までアメリカを貪り食う6日間。

なんという贅沢。これだけで一つの遠征として成立する濃厚なツアー。

行きたいところは全部突っ込んだ。毎日毎日日の出から日の入りまでアメリカの荒野を駆けずり回った。撮影地を探して荒れ果てたルート66を走り、そこから更に荒れ狂ったダートを走ったこと。1日の撮影を終えて次の目的地に向かう最中、深夜に立ち寄ったド田舎のガソリンスタンドの重く気怠い雰囲気。如何にもといった雰囲気の【禁則事項】と空間を共にして食したマクドナルド。日もくれた頃にようやく辿り着いたラスベガスの煌々と輝く街明かりに安心したこと。片田舎のモーテルで食すスーパーの丸焼きローストチキン。すべてが鮮明に思い出される。殆ど悔いはない。

心地よい疲労感と満足感と共にLAXを後に日本へ戻っていった。次に国外渡航が出来るのはいつの日かと思いながら来たるべき労働の日々に想いを馳せてげんなりとしながら。

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